ドイツには「アウトバーン」という速度無制限の高速道路があることをご存知でしょうか。
ドイツのアウトバーンは本当に「速度無制限」なの?通行料金は無料?実際に時速何キロで走っているの?アウトバーンを走る際の注意点は何?など、疑問に思われる方も多いと思います。
そこで今回は、ドイツ在住の私が、「ドイツのアウトバーンについての説明」や「走行時に注意する点」、「アウトバーンあるある」などについて記事にしました。
また、「ヨーロッパ各国の高速道路との違い」についても説明します。
この記事を読んで、ドイツのアウトバーンの世界に詳しくなりましょう!!
今回の記事は次のような人におすすめでござる!!
- ドイツのアウトバーンに興味がある人
- いつかアウトバーンを走ってみたい人
- 車好きな人
- ドイツ/ヨーロッパ在住の人
- これからドイツに住む予定の人
ドイツのアウトバーンについて
世界有数の技術大国ドイツ。その中でもドイツの自動車産業は世界トップクラスです。世界初の自動車エンジンを発明したのもドイツ人のカール・ベンツと言うこと有名です。
そしてなんと言ってもドイツには、ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンなど、魅力的な自動車メーカーが揃っています。
そんな自動車大国のドイツのもう一つの魅力、それがアウトバーンなのです。
アウトバーンの意味?
アウトバーン(Autobahn)とは、ドイツ語の「Auto(車)」と「Bahn(路線)」が組み合わさった言葉で、自動車専用道路という意味です。日本で言う高速道路ですね。
アウトバーンといえばドイツのイメージが強いかもしれませんが、実はオーストリアやスイスにもアウトバーンがあります。
ただし、ヨーロッパは陸続きであり、現在ドイツのアウトバーンはヨーロッパ諸国と繋がっています。その為、ヨーロッパ全体の高速道路を指すこともあります。
ドイツのアウトバーンは速度無制限が有名です。実際に一般ドライバーでも、特別なライセンスがなくても、何キロ速度を出しても捕まりません。
車好きの方にとっては、いつかは走ってみたい道路なのではないでしょうか。
時速200キロなんか想像できないでござる。拙者のダッシュとどっちが早いでござるか?
アウトバーンの通行料金は無料?
ドイツのアウトバーンは現時点で、通行料金が全線無料です!いつでも、何回でも、どこまで走っても通行料金がかかりません。
日本の高い高速料金を知っていると夢のようですね。(大体ドイツ人は日本の高速料金の高さにびっくりします。
ドイツに来て驚くことは、ドイツ人は長距離であっても平気で車を使って移動することです。夏の休暇シーズンなどには、車にたくさん荷物を積んで(自転車なども積み込んで)、家族みんなで車で旅行します。車が主流となる理由の一つですね。
通行料金が無料なのはドイツだけ?
先ほど、ドイツのアウトバーンの通行料金は無料と書きました。では、他のヨーロッパ諸国の高速道路の通行料金はどうなのでしょうか?
実は、高速道路の料金体系は国によってさまざまです。
ドイツの近隣諸国ですと、ベルギーやオランダ、ルクセンブルクは全線無料。
デンマークは海底トンネルやフェリーが有料ですが、それ以外は無料。
フランスやイタリアは、一部無料区間もありますが、所々に料金所があり、区間に応じて通行料金を支払うシステムです。(日本のシステムと似ています。)
チェコ、オーストリア、スイスなどは、「Vignette(ビニエット)」と呼ばれる通行証をフロントガラスに貼るシステムです。一定期間有効なVignette(ビニエット)を、ガソリンスタンドやサービスエリアなどで事前に購入します。
近くの国なのに、通行料金のシステムは全く違うでござるな。
はい、なので注意点が必要ですね!
高速道路上では国境に検問所がないところが多くある為、知らないうちに隣の国に入っていたと言うこともあります。国境を越えた時点で、入国した国の規則に従うようにしてください。
例えば、ドイツからチェコにアウトバーンで入国する場合、チェコに入ってすぐのサービスエリアで「Vignette」を購入する形になりますね!
「速度無制限」は本当なの?
みなさんも気になるアウトバーンの制限速度についての話をします。
実際、ドイツのアウトバーンは「速度無制限の区間」もありますが、「制限速度ありの区間」も多く存在します。
近年、交通量の増加や、アウトバーンの補修工事、騒音対策などの理由から「制限速度あり」の区間が増えてきているようです。またジャンクション付近やトンネル内などでも速度が制限されている場合があります。
その為、アウトバーンには細かく「速度制限標識」が掲げられています。
ドイツでは、常に今の制限速度を意識しながら運転する必要があります。
またトラックやバス、牽引車などは最高速度が決まっており、速度無制限は適用されません。
ドイツのアウトバーンでは、「速度制限標識」が日本よりも細かな間隔で設置されています。そして何故か標識が小さくて見にくいです(笑) 運転だけでなく、標識にも注意して走行しましょう。
「速度無制限」の標識
ドイツのアウトバーンには、「速度無制限の標識」が存在します。特に郊外には速度無制限区間が多く存在します。
この標識を見つけたら、いよいよ「速度無制限」の世界を体験できます!!
実際にこの標識が見えた途端、「アクセル全開!」にするドライバーは沢山います。ドイツでは心待ちにされている、数少ない「愛される標識」だと思います。
現在、「速度無制限」のアウトバーンは、ヨーロッパの中でドイツにしかありません。近隣諸国は全て制限速度が定められています。ドイツ国内でも「速度無制限」は絶えず議論されています。残念ですが、ドイツの無制限がなくなるのも時間の問題かもしれませんね。
アウトバーンの事故は少ない?
時速200km越えの車が走るアウトバーンでは、きっと事故が多いと思われるのではないでしょうか。実は日本の高速道路の事故よりもはるかに少ないと言われています。
アウトバーンを走ってみると、交通ルールをしっかり守るドイツ人の意識の高さと、自分の運転の仕方やレベルに沿った運転をすることが、事後率が低い理由ではないかと感じます。日本と比べてもスピードは速いですが、無茶な運転をする人は少ないですし、速い車にはすぐ道を譲ることなどが徹底されています。
アウトバーンの走行時に注意すること
同じ高速道路であっても、日本の高速道路とドイツのアウトバーンでは走り方に大きな違いがあります。ここではアウトバーン走行時に注意することについて、私の経験を交えてお伝えします。
車線に注意
ご存知の通り、ドイツは右側通行です。その為、アウトバーンでは左車線が追越車線、右車線が走行車線となります。日本とは真逆なので注意が必要です。
ドイツでは、右車線からの追い越しや、左車線を走り続けることは禁止されています。なので、通常は右車線を走行し、追い越す時だけ左車線を走行するようにしましょう。(一部の高速車両は左車線を猛スピードで走り続けているので、左車線に長く留まることは危険です。)
またドイツの走り方の特徴として、左車線を走る車はキープレフト、右車線を走る車はキープライトする傾向があります。つまりお互いが離れて走ることにより中央のスペースを開け、安全を保っているのです。
車線は2車線が多いですが、場所によって3車線、4車線のアウトバーンも存在します。
スピードに注意
速度無制限の区間では、特にスピードに注意が必要です。
ドイツでは、一般ドライバーでも200km/h近くで走ることが普通にあります。運転に自信のある車は200km/h以上で走行しています。(大袈裟ですが、Youtubeなどでは300km/h以上の速度で走行する動画がアップされていますね。)
そのような速度の車と同じ道路を走行することは、ほとんどの人にとって未知の領域だと思います。私もドイツで車を乗り始めたときに、スピードの次元が違ってとても怖い思いをしました。
基本的には、右車線(走行車線)を走行しますが、左車線に入る際には、後続車がかなり離れていることを確認してから車線変更しましょう。後続との車間距離に余裕がない時に車線変更することはとても危険です。
左車線走行時は、こまめにバックミラーやサイドミラーを確認しましょう。数秒前にバックミラーに米粒程度にしか映っていなかった車が、数秒後に真後ろにピッタリとついているケースは何度も経験しました。ミラーを見る回数は、日本の時の2倍以上にした方が良いくらいです。それだけ、200km/hは速いです。
何キロで走行するのがベスト?
速度制限ありの区画では、当たり前ですが、速度標識の速度で運転しましょう。ドイツ人はスピード狂(スピード狂というか高速走行に慣れている)が好きですが、制限速度はしっかりと守ります。出しても+10kmくらいで走行します。周りの速度に合わせて運転すれば問題ありません。
注意が必要なのは「速度無制限」の区画です。
私の感覚ですが、
- 右車線(走行車線)は、平均120〜130km/h
- 左車線(追越車線)は、平均140〜160km/h
程度で走行しているイメージです。
もちろん場所によって違いますが、左車線(追越車線)の場合は140km/h以上出さないと、すぐに後ろの車に煽られる感覚です。(日本で140km/h出したら捕まりますね。)もちろん200km/h近い車も多く走っているので、160km/h以上出していても油断できません。
また、私が一番危険だと思うのは、遅い速度のまま左車線へ車線変更することです。車線変更するときはしっかりと速度を出さないと、後続車に追突される危険があります。
常に周りの速度をチェックして、周りに合わせたスピードで運転を心がけましょう。
工事中に注意
ドイツのアウトバーンでは車線拡張工事や補修工事が頻繁に行われています。そしてなかなか終わりません。工事区間で気をつけることは、制限速度と車線の2点です。
工事区間に近づくにつれて、制限速度が100km→80km→60km→50kmのように徐々に下がっていきます。場所によっては30kmになることもあります。工事区間は道幅が極端に狭かったり、急カーブが多いだけでなく、稀に自動速度取締機が設置されていることがあります。工事区間の制限速度は遵守しましょう。
また車線に関して、通常は白い線に沿って走りますが、工事区間は臨時の黄色の車線が引かれることがあります。その際は、黄色の線に従って走行します。
ドイツのアウトバーンは注意することが沢山あるな。慣れるまでは無理せず、右車線を走る方が無難でござるな。
ドイツのアウトバーンあるある
ドイツのアウトバーンは日本の高速道路と違う点が多くあります。
街灯が少なく夜はとても暗い
ドイツのアウトバーンは、場所にもよりますが、他の国と比べて街灯が非常に少ないです。夜にオランダやベルギーから帰ってくると、国境を過ぎてから一気に暗くなることがあります。なのに速度は無制限。ドイツ人は慣れているのでしょうが、夜の運転は気を使います。
サービスエリアでもトイレは有料
サービスエリアではトイレは有料です。料金は50セント〜1ユーロ程度で、トイレの入り口に自動ゲートがあり、お金(一部クレジットカードも可)を入れて入場するシステムです。場所により、紙のクーポンが出てきて、サービスエリア内で割引を受けられます。サービスエリアの商品は割高です。ドイツではデパートやレストランなどでも、トイレのチップの習慣がありますね。
渋滞の時に、車線の真ん中を空ける
日本ではあまり見かけないのですが、渋滞の時にドイツでは車線の真ん中を開けます。左車線の車は左に寄り、右車線の車は右に寄るのです。これは緊急車両を通す為です。日本では路側帯を通る気がしますが、ドイツでは真ん中を通るようですね。
ドイツのアウトバーンの楽しみ
ここまで、注意点ばっかり書いてしまいましたが、ルールを守ればアウトバーンの運転は最高に楽しいです。
楽しみをあげたらキリが無いですが、日本では味わえないスピード感を味わえたり、ハイスペックなドイツ車の性能を実感できたり、アウトバーンを走るときはいつもワクワクします。
日本からの旅行の際に、アウトバーンをレンタカーを借りて走ることも可能です。国際免許や免許証のドイツ語翻訳等が必要になりますが、そこまでハードルは高くありません。もしドイツに来られる機会があれば、アウトバーンの運転も検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、ドイツのアウトバーンについて記事を書きました。
もしアウトバーンを運転する機会がある方に、少しでも参考になれば嬉しいです。安全運転で「速度無制限」の世界を楽しみましょう。
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ではまた!でござる。
ドイツ人は車で移動することが多いせいか、「この都市までは500km位だからすぐ行けるね」とか、「700kmなら、8時間くらいで着くね」みたいな会話をよくしています。日本人の感覚とは少し違いますね。